Author:yougakudou
創業1986年 洋学・蘭学・東西交渉史を中心に、学術古書、国内古書・古文書も取り扱っています。また当店出版物もございます。
佐賀の天山の奥深く、「狐狸庵」というお蕎麦屋さんがあります。カーナビが狂うところ。地図を片手にしかいけません。天山中腹の山里から、なお深く深く細い渓流沿いに分け入っていきます。落石もあり、もうそこは荒々しい登山道。あちらから車が来たらどうしようと不安に駆られながらすすむこと約30分、廃村のような一区画はあらわれ、まさにそこに「狐狸庵」が出現するのです。すぐそばまでいってもろくな看板もありません。山小屋のような"いおり"の門口をおそるオソルくぐっていくと、きりりと板の間が見え、「夏でよかったなぁ・・・」と思わせます。(真冬、凍える雪道を崖を恐れながらようやくたどりついたところが禅寺の板の間みたいな店だったら・・・ホントニどうします?)そしてそしてようやく注文となり、おいしいそば茶をいただきながら、質素な木卓から白萩と山の早い秋草をながめて待っていると?なにやらトントントン?え!??今からそば切ってるよぉ!!!かくして待ちに待つこと30分ほど、清冽な凛とした蕎麦が深山の山水をまといあらわれてきます。「どうぞごゆっくりおあがりください」と蕎麦の劣化を気遣い、時間差で一人前を二皿にわけ、10分後に後半ステージを運んできます。つゆは辛口、麺も固ゆで、砥ぎ上々。異次元の時間を過ごしたような門口をでて帰り道、貪らぬ流儀がわざわいするのか、渓流へ転落せぬようハンドルにしがみつきながら「狐狸庵行ってきたんだよなぁ・・・」「蕎麦食ったよなぁ???」とと自問しながら下界へ帰らせるとこあたりが、実は狐狸庵の真骨頂だったりするのかもしれません。